孫の手による変革
祖父の代、眼鏡フレームメーカーだったカークオリジナルズは、その製作を長い間、休止していた。
ある日、孫のジェイソンカークはその祖父の屋根裏の隠し部屋から、当時の祖父のデザイン(20世紀初頭)のフレームを大量に発見。そのリメイクに精を出したのが1990年代の初めだった。それはそれで刺激的ではあったが、ジェイソンにしてはやや退屈でもあった。それが2000年代に入り、それまでためていたものを火山が噴火を起こすかのように大爆発させた。
スタイルはもちろん、セルのカラーリングにおいては、いま世界で一番エンドユーザーに喧嘩を売っているブランドとなった。
ユニセックスというにはあまりにも艶めかしいそのデザインは、業界内外で賛否両論を巻き起こしているのは言うまでもない。
デザインはイギリス、製造はフランス。
新しく生まれ変わったカークの血統は、まだまだ変化を続けてゆく−
行き着く先は?
落ち着くということをよしとはしないこのブランドには、変わることこそがコンセプトといっていいだろう。彼がもし明日、今日とはまったく違うフレームをデザインしても、「まさかこれがカークとは」と思うデザインであっても、きっと彼は平然としているだろう。
そりゃそうだろう。百年近い眠りから覚めた大切な祖父のフレームを数年でぶっ壊したのだから。
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