八分目の美学-
1992年、ステファン・フラッシャーとウヴェ・ピンハマーの手によりスタートしたフロイデンハウスは、いわば「80%」のデザインを目指したデザインと言っていい。将棋でいうところの「指しすぎ」をとがめるという感じで、もうちょっとと思うところで止める。これはデザイナーとしてなかなか勇気のいることだ。
いわゆるデザインというものは、ゼロからスタートするものだから積み重ねていって当然なのだが、あるところから今度はそぎ落としていく作業にかからなくてはいけない。これは積み上げるよりずっと難しいことである。それをいかにさりげなく出来るか、特にフロイデンハウスの場合、スタンスを男性よりにおいているため、この作業が全てを決めると思って頂いて間違いない。
シンプルでありながら説得力のあるデザイン。
フロイデンの風−スタイリッシュな中にも力強さを感じさせる。
フロイデンの風、男の風
女性のフレームは多少削り取るべきデザインが残っていても、「かわいさ」に逃げることが出来る。しかし男性の場合、ジャケット、スーツという「鎧」の上にフレームをつける場合が多いので、出来るだけシンプルに仕上げなければならない。
フロイデンハウスのフレームには何か「男の涼しげな風」が吹いているような気がする。その風は決して強い風ではない。でも吹いているやさしい風は、今私達日本の上を静かに、そして絶え間なく流れるように吹き続けている。
P.S ちなみに「フロイデンハウス」とは「歓喜の館」すなわち「売春宿」とのこと。ドイツの旅行者の人が笑いながら教えてくれました。
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